新生「ロジェ ヴィヴィエ」本格始動 新ディレクターの素顔に迫る

1937年にフランスで創業した「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」は、美しい曲線を描く“ショック”ヒールや“ヴィルギュル”ヒールを生み出したことで知られるアクセサリーブランドだ。45年の時点でいち早くPVC素材をシューズに取り入れるなど、既成概念を覆す先進的なシューズを生み出すメゾンでもある。

53年に英国女王エリザベス2世が自身の戴冠式で着用したのにはじまり、ジャクリーン・ケネディ(Jacqueline Kennedy)やグレース・ケリー(Grace Kelly)、カトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)、ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)、ジュリアン・ムーア(Julianne Moore)、ブレイク・ライブリー(Blake Lively)といったそうそうたる女性たちから支持を得ている。そんな「ロジェ ヴィヴィエ」に2018年3月、ゲラルド・フェローニ(Gherardo Felloni)が新クリエイティブ・ディレクターとして就任した。

ゲラルド・フェローニ新クリエイティブ・ディレクターは、トスカーナ生まれ。ラグジュアリーシューズの製造を手掛ける家に生まれ、幼い頃から靴に囲まれて育ったことから「シューズは私の人生そのもの」だと語る。「ミュウミュウ(MIU MIU)」などを経て、「ディオール(DIOR)」のウィメンズシューズ企画のトップとしてクリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノ(John Galliano)やラフ・シモンズ(Raf Simons)の下でキャリアを積み、14年から再び「ミュウミュウ」でシューズ、レザーグッズ、ジュエリー部門のデザイン・ディレクターを務めた。「ロジェ ヴィヴィエ」のクリエイティブ・ディレクター就任にあたり、「アッパーだけでなく、初めてヒールやソール部分にまでデザイン性を取り入れたムッシュ・ヴィヴィエは天才であり“シューズ界のマスター”。ここで働くことは私の夢だった」と語る。

ゲラルドのクリエイティブ・ディレクター就任にあたり、初出社の様子を収めたムービーを制作した。パリの郊外にある自宅でも撮影し、愛猫や自分で手入れをしているというバラ園も披露するなど、プライベートの顔が垣間見える。芸術を愛するゲラルドは、アンティークジュエリーの収集やテノールとしてオペラを歌うといった側面も持ち、それら全ての要素がクリエイションの源泉となっている。

2019年春夏パリ・ファッション・ウイーク期間中の10月27日、「ロジェ ヴィヴィエ」はゲラルドのデビューコレクションを発表した。会場となったのはパリ5区にある洋館で、ホテル風に改装し“ホテル ヴィヴィエ(HOTEL VIVIER)”と名付けた。彫刻家や女優など異なるライフスタイルの5人の女性が滞在する部屋には、それぞれをイメージしたシューズやバッグが部屋を飾った。ゲラルドは、「『ロジェ ヴィヴィエ』はウエアがない分、シューズを履くシチュエーションをイメージできる空間作りが大切だった」と説明する。当日はオープンからクローズまで多くの来場者であふれ、コレクション期間中の特筆すべきブランドとして“ホテル ヴィヴィエ”を挙げるバイヤーもいたほど、ほぼ無名のデザイナーだったゲラルドのクリエイションに注目が集まっている。

11月21~27日、伊勢丹新宿本店本館1階ザ・ステージでポップアップイベント「トレ ヴィヴィエ」を開催する。ゲラルドの世界観を体感し、デビューコレクションを実際に手に取ることができる日本で初となるイベントだ。「私は自分のことを“女性に仕えるデザイナー”だと考えている」と語るゲラルドが生み出すシューズは、あらゆる女性のニーズに応えるデザインが特徴で、1960年代に誕生したパンプスをゲラルドがモダンにリモデルした“トレ ヴィヴィエ”やメゾン初のランニングスニーカー“ヴィヴ ラン”を始めとする2019年春夏コレクションを展開する。

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