百貨店大手5社の8月度売上高(既存店ベース)は、4社が前年実績を上回った。稼ぎ頭のボリュームの婦人服において、気温が上がったことで盛夏物が動いた。特選、呉服、宝飾、美術品、時計など高額品では中国人のインバウンド消費が失速しているが、国内富裕層の消費が下支えし堅調に推移している。
8月度の売上高は、三越伊勢丹が前年同月比5.5%増、高島屋が同3.8%増、大丸松坂屋百貨店が同0.5%減、そごう・西武が同3.0%増、阪急阪神百貨店が同2.9%増。
そごう・西武でけん引したのは特選(同20%増)、と呉服・宝飾・美術(同30%増)。高島屋も特選婦人服・雑貨が同14.3%増、時計・宝飾が同16.3%と大きく伸ばした。主要百貨店で唯一前年を割った大丸松坂屋百貨店(同0.3%減)は、「円高・元安の影響で中国人の客足が遠のいた」(広報担当者)ことで7カ月ぶりに免税売り上げ高が前年比減。だが旺盛な国内需要がカバーし特選婦人服・雑貨が同2.8%増、高級雑貨が同9.5%増だった。
婦人服は、気温の上昇で積み上がった盛夏物の在庫の消化がようやく進んだ。三越伊勢丹は梅雨明けから盛夏物が本格的に動き出した。「月後半から涼しくなり、夏物はややブレーキがかった。一方、新宿(本店)の感度の高いお客さまにはジャケット類や秋色のバッグなどがすでに売れ始めている」(三越伊勢丹広報担当者)。サンダル(同2割増)、日傘(同3割増)など夏物雑貨も売れた。そごう・西武は秋の気分を先取りしたMDが貢献し、婦人服カテゴリーで前年比微増。「盛夏物は売り時を逃してしまった形だが、気温が高い時期から着られる薄手の素材で、かつ秋カラーの軽・中衣料でカバーできた」(そごう・西武広報担当者)。
気温に左右されないMDも実を結んでいる。婦人服が前年同月比プラスとなった高島屋は盛夏・秋物ともにプロパー商材の動きがよく、ワンピースは同2ケタ増。阪急阪神百貨店も、阪急うめだ本店でプロパー商材を特集したイベントが集客につながり、同店の売りあげは同7.3%増。増税前の駆け込み需要を狙った仕掛けも始まっている。「高単価なアウター類や希少な高級雑貨、消耗品などのフェアも開始し、特にインポートのダウンが売れた」(そごう・西武広報担当者)。
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